脱プラスチック時代のクリアファイル。素材選びのポイントについてまとめてみました。

今プラスチックの大量生産によってもたらされた廃プラスチックの削減が世界規模の緊急課題となっています。
課題のひとつは焼却処分の際に二酸化炭素(CO2)が排出され、地球温暖化の原因になっていること。そしてもうひとつは、廃棄されたプラスチックがマイクロプラスチックとなり海へ流れ込んで海洋汚染を引き起こしていること。これらの課題に対し、プラスチックの使用を減らそうという動きが世界中で高まっています。

その流れから企業のプロモーショングッズとして人気のクリアファイルにも、環境負荷の少ない素材を使いたいというニーズが増えてきています。弊社ホームページでもエコ素材のクリアファイル関連のページのアクセスの増加が顕著なほか、ネット検索してみるとエコ素材のクリアファイルに関する情報が増えてきました。そこで本稿ではエコ素材のクリアファイルを数多く手掛け、新素材への対応も精力的に取り組んでいる弊社が、クリアファイルの素材選びのポイントについてまとめてみました。

現在弊社の取り扱っているクリアファイル用のエコ素材は7種類ありますが、ざっくり「環境に優しい」とは言っても、その特徴はさまざまです。クリアファイルにエコ素材を使用する場合は、環境に良い理由を含め素材の特性をよく理解しておく必要があるほか、単に地球に優しい素材を使えばよいということではなく、製造から廃棄までを知っておくとクライアントへの提案の際に説得力が増すと思います。

 

クリアファイルに使われる環境に優しい素材は、大きく分けて2つ。
プラスチックをリサイクルしたものと、石油以外の原料を混ぜて石油の使用を抑えたものです。
プラスチックをリサイクルした再生素材には、再生PP(再生率40%と100%)、再生PET(再生率70%)、エコミクスPP(ペットボトルキャップ再生材を25%以上配合)があり、石油以外の材料を混ぜたものには、LIMEX(石灰石50%以上配合)、ストーンペーパー(石灰石60%以上配合)、ライスレジン(廃棄米を20%配合)があります。

これら全ての素材に共通しているのは、新たな石油資源を節約するということ。
再生率100%のPPであれば、新たな石油資源を使わずにシートを製造することができます。再生率40%であれば60%の使用で済みます。これが環境に優しいとされる所以です。その他に注目しておきたい点は廃棄されたクリアファイルはどうなるのか?というブブン。
実はこれらのエコ素材を含むクリアファイルのほとんどが焼却処分されているそうです。焼却と聞くと環境に悪いイメージがありますが、廃プラスチックの一部は燃焼時の熱をエネルギーに変換するサーマルリサイクルと呼ばれる方法でリサイクルされているそうです。実は日本ではこのサーマルリサイクルが主流となっていて、廃プラスチックの約半分がこの方法によりリサイクルされているとのこと。

ただこのサーマルリサイクル、一点だけ気になることがあります。燃やすのだからCO2が発生するのではないかー?
調べてみると、諸説あるようですが化学関連団体や化学メーカーが参加する組織より他のリサイクル方法(マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル)と比較しても環境負荷軽減効果は劣らないとの報告もされており、単に廃プラスチックを燃やすことが特に環境に悪いということではないようです。

逆にプラスチックは紙などに比べ高温で燃焼するため、効率よく熱に変換できるというメリットもあるようです。しかしその一方でプラスチックは紙にくらべて燃焼時により多くのCO2が発生します。リサイクルの効率がいい反面、多くのCO2を発生させてしまうのです。そこで有効なのが、バイオマスなどプラスチック以外の原料を加え、プラスチックの含有量を少なくする方法。
例えば原料に石灰石を含むLIMEXストーンペーパーは、石灰石の分だけプラスチックの含有量が少ないため、燃焼時のCO2が少ないとされています。また、バイオマスプラスチックのライスレジンは、原料のお米が成長する過程で大気中からCO2を吸収しているため、焼却してCO2を排出してもトータルで見るとCO2濃度に影響を与えないカーボンニュートラルであると考えることができます。
現在、地球温暖化対策として温室効果ガス(CO2)の削減が急務となっていますが、廃棄の際に燃えるごみとなるクリアファイルも、異素材を加え原料のプラスチックの使用を抑えることによりCO2の削減に貢献することが可能です。

簡単な表にまとめてみました。

素材名原料原料再生率石油資源以外の原料配合率新たな石油資源使用率焼却時のCO2排出量
PPナチュラルPPナチュラル0%100%
再生PP高透明再生PP100%0%0%
②再生PPPP+再生PP40%0%60%
再生PET再生PET+PET70%0%30%
エコミクスPP+再生PE25%0%75%
LIMEX石灰石+PP石 50%50%
ストーンペーパー石灰石+PE石 60%40%
ライスレジンPP+米米 20%80%

再生プラスチックを原料に使用する①~④はリサイクルされた廃プラを再利用し、結果としてCO2削減につながっている。⑤~⑦は非石油資源を原料に使用するため、その分の石油資源の節約につながっているほか、純粋なプラスチックにくらべ燃焼時のCO2は少なくなる。

※再生PP40%は取り扱いを中止しました(2022年6月27日)
※ストーンペーパーは取り扱いを中止しました(2023年8月2日)

 

クリアファイル用エコ素材~おすすめポイント

■プラスチックをリサイクルした素材
再生素材を配合したクリアファイル
再生PPと再生PET、そしてエコミクスはリサイクルされたプラスチックを一部または全てに用いて、新たなプラスチックの使用量を抑制し、限りある石油資源を節約できます。なかでも再生率100%の再生PP高透明は、原料のPPが100%のリサイクルという分かりやすさと、エコマークを表示できることから、もっとも顧客におすすめしやすい素材といえます。
回収したペットボトルキャップを再生した原料を一部に使用したエコミクスもユニークな素材です。身近な物からクリアファイルが作られているというだけで親近感が湧きませんか?話題性も兼ね備えたエコ素材です。

 

■プラスチック以外の原料を加えた素材
石からできたクリアファイル

LIMEXストーンペーパーはどちらも石灰石を配合し似ていますが、ベースのプラスチックに違いがあり質感や硬さなどが異なります。LIMEXはプラスチックに近いイメージで、ストーンペーパーは少し紙に近い感じで筆記もできるのが特長です。石灰石は国内に無尽蔵に存在するため、枯渇の心配もなく、原料の一部を置き換えることにより貴重な石油資源を守ることができます。どちらの素材もプラスチックの使用が少ない分、焼却時に出るCO2も少ないのがポイントです。

植物由来のクリアファイル
原料の一部を植物などに置き換えたバイオマスプラスチックを使用。お米由来のライスレジン®は、廃棄される非食用米を原料の一部に使用し、その分の石油資源を節約できるのが特長。焼却時に出るCO2はカーボンニュートラルによって実質的には増えないため、地球温暖化対策にも有効です。生物由来の素材の証としてバイオマスマークの表示が可能です。



 

このようにクリアファイル用のエコ素材を選ぶ際に、廃棄するところまでをひとつのサイクルとして考えてみると、また違った視点でエコ素材の持つメリットやデメリットが見えてくるのではないかと思います。脱プラスチックの潮流がさらに強まり、よりいっそう環境に優しい素材への需要が高まると思われますが、素材への理解を深め、正しい知識を身に着けることにより顧客への提案もよりスムーズに行えると思います。

 

まとめ


①クリアファイルに使うエコ素材は大きく分けて2種類ある。
(プラスチックを再生したものとプラスチックの代わりに石油以外の原料を加えたもの)

②クリアファイルにエコ素材を使用すると石油資源を節約できる。


③廃棄されたクリアファイルの多くはサーマルリサイクルという方法で熱エネルギーに変換される。


④素材にプラスチック以外の原料を加えることで焼却時のCO2の発生を少なくできる。


 

エコクリアファイルのまとめページはこちらです!

エコクリアファイル

 


本稿は下記のサイトを参考に作成しました。
廃プラの燃料化は有効!日本が世界に発信するサーマルリサイクルとは?/㈱日刊工業新聞社
現在主流の3種の廃プラリサイクル法を詳しく解説/一般社団法人日本リサイクル業IT支援協会
2050年までに実現? 世界を席巻する「カーボンニュートラル」とは/オリックス㈱
「カーボンニュートラル」をわかりやすく解説!脱炭素社会の実現について考える/東芝テック㈱