キラピカ仕上げに欠かせないアルミ蒸着とは?めっきとの違いは?
メタリックな輝きで特別感を演出できる「アルミ蒸着」は、推し活グッズに欠かせない後加工のひとつです。例えばキャラクターが印刷されたクリアファイルにアルミ蒸着加工するだけで、シークレットアイテム向けのプレミアム感ある仕上がりになります。
また、アルミ蒸着によく似た加工に「めっき」がありますが、アルミ蒸着とはどのような違いがあるのでしょうか?
今回はアルミ蒸着がどんな加工技術なのか調べてみるとともに、めっきとの違いについて調べてみました。
蒸着とは
蒸着とは真空容器内でアルミニウムなどを加熱・蒸発させ、プラスチックフィルムやガラスなどの表面に薄く均一に付着させて薄膜を形成する加工技術。「ドライコーティング」というコーティング技術の一種です。
薄膜の膜厚は数十ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル、単位記号:nm)ピンときませんが、とにかく超極薄だということですね。
蒸着の原理
水を入れて熱した鍋にフタをすると湯気が付着して水滴ができる
これと同様に、水を加熱すると水蒸気となって蒸発し、その上に置いた板などに水蒸気が付着して水滴になる前の水の膜ができた状態。これと同じ原理が蒸着です。アルミ蒸着の場合はアルミ(金属)などを加熱して気化させ、基材(蒸着される材料)にアルミの薄膜を形成します。
出典:「真空蒸着とは」尾池工業株式会社 より抜粋
https://www.oike-kogyo.co.jp/research/column/vacuum_dep/
アルミ蒸着の用途
身近なものだとポテトチップスの包装の内側なんかがそう。
銀色になっていますよね。それがアルミ蒸着です。
酸化を防ぎ味と品質を保つためにアルミ蒸着が使われている
とある菓子メーカーのWEBサイトによると、袋の内側が銀色の理由として
~商品の袋は「アルミ蒸着フィルム」を使用しています。これは薄いプラスチックのフィルムにアルミニウムを蒸発させ付着させているもので、そのため内側が銀色に見えます~とのこと。
さらに、なぜパッケージにアルミ蒸着フィルムを使うのか?という問いに、
~商品の油分を劣化させる紫外線をおさえることができます。また水蒸気や酸素などの気体を通しにくくガスバリア性が高いため、湿気や酸化する速度を遅らせ品質を保つ期間を長くすることができるから~とあります。
アルミ蒸着は食品の味と品質を保つために包装に使われているんですね。
そのほか、光遮断性に優れ、紫外線や赤外線を遮断する効果もあるため、自動車の日よけや保冷バッグに使用されていたり、中身が見えてはいけないシークレットグッズのパッケージにも使用されています。
中身の見えない銀色の包装もアルミ蒸着
めっきとの違い
アルミ蒸着によく似たものに「めっき」があります。
どちらも物体の表面に金属などの薄い膜を形成するコーティング(表面処理技術)ですが、原理や方法は全然別のものです。
めっきといえば鏡面の美しい反射と輝きのクロームメッキ
「めっき」は金属を溶かした溶液に製品を浸して、電流を流し金属皮膜を生成する電気めっきで知られる「ウェットコーティング」という技術が主流です。
電気めっきとは、めっきしたい金属を溶かしためっき液と呼ばれる液体の、マイナス極にめっきされる製品を浸し、プラス極にめっきしたい金属(可溶性金属)を浸し電流を流すと、プラス極から溶けだした金属イオンがマイナス極へと移動し、製品の表面で電子と結びついてめっき被膜が生成されます。
電気めっきは比較的安価で、金・銀めっき、ニッケルめっき、銅めっきなど広く利用されています。
出典:【簡単解説】めっきとは?種類や目的、方法、工程、金属皮膜について 株式会社特殊金属エクセル より抜粋
https://www.tokkin.co.jp/media/technicalcolumn/2212060
蒸着もめっきのなかま??
電気めっきの仕組みはやや難解なので、これ以上は深掘りしないでおこうと思いますが、簡単に言えば「金属が溶け出した液体を電気によって固体の金属皮膜にする」ということです。
一方「蒸着」は真空中で金属を蒸発させ基材に薄膜を形成する「ドライコーティング」という技術のひとつ。原理や方法が明確に異なるため、めっきと蒸着は異なる技術ですが、実は蒸着は「乾式めっき」とも呼ばれています。混乱してしまいそうですが 乾式めっき=蒸着 との理解で問題はなく、より厳密には「蒸着は乾式めっきの一種」という関係になります。
蒸着も薄い膜を形成する表面処理技術「めっき」のひとつということなんですね。
今回は推し活グッズに欠かせないキラピカ加工「アルミ蒸着」を取り上げてみましたがいかがでしたか?
似ているけど違う技術ということで「めっき」を紹介するはずでしたが、なんと蒸着はめっきの仲間というまさかの展開になってしまいました。
アルミ蒸着を使っている商品
最後にアルミ蒸着加工しているプレミアムなアイテムを紹介します。
これらのほかに別注製作することもできます。
プレミアムなグッズを作りたくなったらお気軽にお問い合わせください。
■アルミ蒸着クリアファイル
Coming Soon
参考にさせていただいたWEBサイト
株式会社ミスミ/電気めっきの原理
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1603.html
株式会社神戸製鋼所/PVDとめっきの違い、分類や選び方について徹底解説!
https://kobelco-coating.com/jp/column/190/
尾池工業株式会社/真空蒸着とは
https://www.oike-kogyo.co.jp/research/column/vacuum_dep/
株式会社特殊金属エクセル/【簡単解説】めっきとは?種類や目的、方法、工程、金属皮膜について
https://www.tokkin.co.jp/media/technicalcolumn/2212060
株式会社湖池屋/お客様センター
https://koike-yafaq.dga.jp/faq_detail.html?id=309